庭にある「蹲踞(つくばい)」って?

蹲踞(つくばい)は、漢字では「そんきょ」とも読みますが、そんきょと言えば、剣道や相撲でよく使う言葉です。

実は私も小学校の時に剣道を多少嗜みました。あまりにも頭を叩かれるもんでやめてしまいましたが…

水を張った蹲踞
水を張った蹲踞

蹲踞とはその姿勢の事を意味する

剣道は最初に対戦相手と向かい合って、腰を下ろした蹲踞(そんきょ)の姿勢をするところからスタートします。

つまり、蹲踞(つくばい)もそんきょの姿勢のように体を丸くしてしゃがんで利用するからつくばいと呼ばれているのです。

そんなうずくまるようにして水を張った石で一体何をするというのでしょうか。ちょいと疑問がわきますね。

剣道の試合開始の際に腰を下げて蹲踞の姿勢を取る
剣道の試合開始の際に腰を下げて蹲踞の姿勢を取る

出雲地方の日本庭園にはかかせない蹲踞

日本庭園に必ずといっていいほど見かけるつくばい。実は出雲流庭園とよばれる独特の出雲地方に多い日本庭園には、絶対といっていいほどつくばいがあります。不思議なものです。

蹲踞は茶庭に欠かせない存在です。しかし、出雲地方の一般住宅庭園には茶室の有無に関わらず、必ずと言っていいほど蹲踞があります。
それはなぜでしょうか?

実のところ未だ謎でして、これが正解という歴史的史料等は存在しません。ただ、出雲地方のお茶文化に関係があると語り継がれています。

松江城七代藩主松平治郷(不昩公)は大名茶人としても高名でした。お宿として利用していた御本陣にはおもてなしとして茶を振舞い、庭には風情として蹲踞が置かれました。

その後、茶文化は庶民にまで広がり、庶民の庭にも蹲踞が置かれるようになったということです。

つまり、出雲地方の庭の特徴は、茶庭の要素が加わった枯山水庭園ということになりますね。

松江城の天守閣
松江城主の影響が色濃く庭園文化に残る

江戸時代の歴史文化が継承されて現在に残る街並みって、なんだかいいですね~。
私は一時期大阪で生活をしていましたが、ふるさと出雲に帰るといつも落ち着いた気持ちになりました。
その時はわかりませんでしたが、きっと歴史文化を肌で感じていたのでしょう。後世へ残していきたいですね。